2008.07.30 Wednesday

HIVと出産の間のいろいろなこと

 昨日、7/29付の日経新聞朝刊に、血液製剤でHIV陽性のご夫婦が国内初の体外受精へ、という記事がありました。ネットニュースでも見ることができます。

 HIVそのものはまだ特効薬はないものの、薬で発症を遅らせ健康に暮らせる方が多くなってきている実感があります。このご夫婦も薬を使っていらっしゃるかどうかはわかりませんが、免疫状態が非常によいとのこと。夫の精子からHIVウイルスを除去する手法が確立されたのも大きいですね。

 この件に関しては、厚労省でも公開会議などで慎重に検討されてきたようです。倫理的な問題のひとつに、母子感染の問題はもちろん、子どもが成長するまで育児が可能かといったところまで幅広く議論が重ねられています。

 子どもが成長するまで育児が可能かという意味では、私のように超高齢出産でも同じリスクかもしれません。夫とは、日頃から「子どもが社会人になる前に私たち二人ともに何かあったらどうするか」を話したりしています。

 身内の家族に託すのか、それならお互いに話し合って遺言状をつくるなど今から準備しておかないと……などなど。もちろん、年齢に関係なく事故や天災もあり得るわけなので、 というわけで、この点に関してはHIVに感染された方々だけの問題ではないと思った次第でした。

 さて、HIVということでは、もうひとつ、とても考えさせられたことがありました。妊娠すると、風疹抗体などさまざまな検査を受けますが、そのひとつにHIV検査があります。2006年には、妊娠してはじめてHIV陽性が判明した方が全国で46人いらしたという記事を、妊娠中に読みました。

 HIV陽性の場合の出産は、適切な投薬と帝王切開でほぼ母子感染は防げ、健康な赤ちゃんを出産される方が多いと聞いています。とはいえ、誰でも自分が陽性だと告げられれば、子どもをどうするのか、夫との関係はなど、考えなくてはいけないことが山のようにおしよせるはずです。その心の内の辛さはいかばかりか胸が痛みます。

 編集者時代に取材でかいま見ることができた米国のHIV救済ネットワークでは、NPOがそれぞれ連携し合い、きめ細かくHIV陽性の方々のサポートをしていました。私が話を聞いたのはハワイ州ですが、興味深いのは、それぞれのNPOや第三セクター、研究機関がHIVというだけでなく、そこからさらに専門性を持っているということ。

 たとえば、感染しているかどうかの相談だけを受けつける機関、発症前の方々をサポートする機関、HIV陽性の方の妊娠・出産をサポートする機関などなど……。こういったところが医療機関とも連携しあって、その人の状況にどの機関が適切なのかを判断し、紹介していくシステムができていました。

 HIVに限らず、こういった点在するサポート機関が有機的に連合し、探しやすい状態にあり、病院からも紹介してもらえたりすると、いち早くサポートを受けつつ必要な知識を得て問題に立ち向かえるのでは、と思った次第でした。

 これを日本に置き換えたとき、誰が音頭をとってこういう仕組みをつくるべきなのか。民間の力を最大限活用するという意味でも、医療機関への過度な負担を軽減する意味でも、厚労省が考えていくべきことのひとつかもしれません。

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今週の貂々さん
ちーと君が聞かされている本の内容気になります……コレでした。

婚活時代.jpg


2008.07.23 Wednesday

今さらですが、教育改革国民会議

 ネットサーフィンという言葉もそろそろ死語になりつつあるのかな、と思いつつ、Webサイトを見ながら直感的にクリックしていくと、思わぬ情報を得られることがあります。

昨日もつい、夜中に平成12年の教育改革国民会議の分科会の内容に行き着いてしまいました。子どもを持ってから、俄然「教育」という言葉にはしっかり反応してしまいます。8年前は、あまり気にかけなかったテーマではあるのですが、当時の小渕内閣によって設けられた私的諮問機関です。

ちょっと目を通してみると、教育現場の荒廃に危機感を持っている知識人の方々の思いというか、かなり大胆な提言が目をひきます。一例をご紹介すると

<家庭が行うこと>として
・団地・マンション等に床の間をつくる(なぜ!)
・教育の責任は当人50%、親25%、教師12.5%、一般社会12.5%であることを自覚させる(この数字に意味あり?)
・子どもを厳しく「飼い馴らす」必要があることを国民にアピールして覚悟してもらう(覚悟って……)
・「ここで時代が変わった」「変わらないと日本が滅びる」というようなことをアナウンスし、ショック療法を行う(だ、大胆!)
・バーチャル・リアリティは悪であるということをハッキリと言う(青少年ネット規制法を予言?)

  (  )は思わずツッコミを入れたくなる箇所。この教育改革国民会議の最終報告は、「教育を変える17の提案」として当時の森内閣に出され、その後も議論が続けられているようです。この17は、どれも実現すべき深い意味を持っていると感じます。

  その17の提案にいきつくまでの議論のプロセスがかなり過激だったとも言えるわけで、それがこんなふうに首相官邸ホームページで開示されているのも興味深いですね。

  ところで、なんでこんなページにいきついてしまったかというと、私たちが運営しているブログサイトcafeblo(カフェブロ)というのがあるのですが、そのコンテンツのひとつに、「かふぇぶろ大衆浴場」というスタッフブログがあります。

  ここが、「週末オトコのB級料理」などゆる~く楽しんでいただけるテーマで書きつづられているのですが、「発見オモロ~QA」というテーマがあり、cafeglobe.comで始まった「なんでもQ&A」から、くすっと笑えるネタをひろっています。その中で、さきほどの「団地・マンション等に床の間をつくる」について、どういう効用があるのでしょうというQAがあったからなのでした!

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今週の貂々さん。

うちの場合は、抱っこしてくれるなら誰でもオッケ~です。いまのところ。

人見知り.jpg



2008.07.16 Wednesday

子連れ外食に、念入りな下調べ!

 子どもも8ヶ月になり、ハイハイまであとちょっと、な感じです。まだ動き回らないので、ベビーカーや抱っこひもで気軽に外食にも出かけています。

 「けっこうどこでも行けるなあ」なんて思ったのが気のゆるみだったかもしれません。先日、週末に夫と私の父と待ち合わせて新宿は歌舞伎町の雑居ビルのお店へ。もちろん子どもも一緒です。

 もともと、授乳スペースもある新宿高島屋でご飯、と思っていたのですが目当てのお店は予約ができず、ついたときには長蛇の列。他のお店も同じ状態。父と乳児連れでは並ぶのも辛く、とにかくご飯が食べられれば、ということで餃子が美味しいお店があったことを思い出して行ったのでした。

 ということで楽しみに行ったのですが、食事中に子どもが「ウーン」といきんでいるのを見て……「はっ、おむつ替えのこと忘れてた!」。まったくノーテンキな母です。

 店内は混んでいます。空いていたとしても、うんちの取り替えはどう考えてもNG。お店の方に聞いても、結論は一緒で多目的トイレまたは授乳スペースのある新宿駅か伊勢丹に行くかしかありません。仕方なくうんちをしてしまった子どもを抱っこヒモに入れて「気持ち悪いよねーゴメン!許せ!」とかいいながら人混みをかき分けて10分以上かけて伊勢丹へテクテク。

 結局、行き帰りも含め40~50分かけてのおむつ替えとなり、ゆっくり食事もできませんでした。かなり反省。これからは、動き回ることも多くなるだろうし、もっと食事できるお店が制限されるので事前の情報収集をしっかりして行かねば、と思ったのでした。

 子連れで行けるお店かどうかは、お店側に確認するのが一番なのですが、お店側は建前として「子連れOK」でも実際は居心地が悪かったり、配慮が足りなかったりすることもよくあるそうで、そういうときは何と言っても行った人のクチコミや、実際に取材した編集者の目が頼り。

 以来、必ずお出かけ前には、痒いところに手が届く細かい情報と信頼できるクチコミが集まっているスマイリーマムで調べて行くようになりました。もちろん、よかったお店は投稿もしています。

 そして、あの東京カレンダーのママ版、東京カレンダー for mom。あこがれのあのお店も、自分の思いこみだけでNGにしてませんか。意外と子連れ、OKだったりするんだなーと眺めて楽しんでいます。永久保存版かも。

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今週の貂々さん。初めてのものは、こんな顔します。でも、次も口開けるんです。

離乳食.jpg

2008.07.09 Wednesday

世の中常に「キケン」はあるから

 つい先日の7月8日、アップリカ製のベビーカーの背もたれ部分を固定するねじがゆるみやすくなる場合があり、幼児がケガをする可能性があるというニュースがありました。
  経済産業省でもニュースリリースしています。

  さっそくアップリカのWebサイトで詳細を調べたところ、我が家で使用しているベビーカーが該当することが判明。案内にそってドライバーを使ってゆるみを調べたところ、うちの場合は問題なく、そのまま使えそうだということがわかりました。

  報道によれば、全国でケガをした幼児は6名。軽傷の幼児が5名出た時点で警告していれば重傷事故は防げたかもしれないという指摘もあります。こういった商品の不具合は、一刻も早く正確な情報を消費者に伝えるべきですよね。一方で、「購入履歴の残らない商品」については、現状、知らせるすべはネットを含むマスメディアを使って、素早く広く告知するしかないのが現状です。

  重大なリコールで記憶に新しいのが、ナショナルのFF式石油暖房機。こちらは、死亡事故があったことも受けて、テレビ広告が一時すべて、「探しています」という極めてシンプルで訴えかける力の強いコマーシャルに差し代わったことがありました。いまでも、ナショナルのWebサイトのトップページは、そのお知らせが大きく出ています。

  販売されたのが22~16年も前ということもあり、破棄された数も把握できませんし、メディアへの接触状況によっては、ずっと知らないままの方もいらっしゃるのではと思うのです。

  私たち自身も、こういった危険が伴う情報はいち早く知りたい。でも、新聞やテレビ、ネットを見ない日だってありますよね。

  その不安がさらに大きくなったのが、ベビーカー報道の翌日9日。プラスチック製の哺乳瓶、輸入の缶詰に使われるプラスチック原料のビスフェノールAが胎児や新生児の健康に影響を及ぼす可能性があると新聞やネットで報じられました。なるべくガラス製の哺乳瓶に切り替え、妊婦は輸入の缶詰を食べないように、と厚労省のサイトでも呼びかけています。


  もし、今日この記事を見なければ、私はお出かけのときのプラスチック製哺乳瓶を使い続けただろうな……と思うのです。

  こういった安全性に関する情報は、本来は、私たち市民が取りに行くべきものではなくて届けられる必要があるのではないでしょうか。商品やサービス、場所など、さまざまな省庁が管轄しているわけですが、こういった安全に関わる情報はまずはどこかで一括管理して、登録した人には、とにかくすぐに情報がいくという仕組みはできないものでしょうか。そんなにむずかしいことではないような気がします。

  PCや携帯がなくメールが受け取れない人は、家族や社会でサポートするという意識も必要にはなりますが……。

  カフェグローブ・ドット・コムのオフィスがある千代田区では、安全・安心メールというのがあり、近隣地区で発生した事件情報を携帯メールにいち早く知らせてくれます。秋葉原の通り魔事件の時にも約2時間半後には、一報が入り、警官が負傷したこと、犯人が逮捕されたこと、千代田区民への被害はなかったことなどがわかりました。

  そう、こんな仕組みです。ぜひ実現していただきたいものですね。

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今週の貂々さん

目がハートになるの、わかります。自分の子と同じくらい、他の子、いや子どもという子どもがみんな可愛く思えるんですよね。

目がハート.jpg


2008.07.02 Wednesday

その発想は画期的だったのに……がっかりな制度

 少し前ですが、6/20付日経新聞夕刊に、認定子ども園を取材した記事がありました。

 私も不勉強でよく知らなかったのですが、認定子ども園とは、保育園と幼稚園のいわば「いいとこどり」な施設です。親が働いているいないにかかわらず、昼過ぎから夕方まで預かってもらえます。ちなみに幼稚園は昼過ぎには帰されてしまうので、共働き家庭だと通わせにくいのですね。

 また、そもそも、幼稚園は定員割れしているところが多く、そこを保育園の待機児童の受け皿にできないか、という発想でもあったようです。

 この認定子ども園、制度発足から1年半たっても施設数は計画の一割ほどしかないそうです。既存の保育園や幼稚園が連携したり、保育園が幼稚園を併設するなど、4つのタイプでの「子ども園」誕生が見込まれていたのですが……。保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省という二重行政の歪みは以前から問題視されていましたが、結局ダメじゃん、何も学んでないじゃん、というところですね。

 まず、なぜうまくいっていないかを記事からひろってみると……
●制度のはざまで自治体から受け取る運営費の支給額が減ることがある
●建築基準法で幼稚園と保育園は別物で、同じ施設内で両方を運営する場合は防火シャッターが必要になり設備費がかかる
●事務手続きが煩雑。保育園は市町村所管で、幼稚園と子ども園は都道府県。

 ビジネスとして考えたら、あり得ない話です。あずかる子どもの総数は増えるのに、収入は減り、設備費がかかり、運営が煩雑になってその結果人件費もかさむかも……と思ったら何のメリットもありません。こんなこと誰もわざわざやりたくないですよね。定員割れしている幼稚園が、定員確保のために子ども園として認定を受けるというだけ、という批判もあります。

 発想はよいのに、いざ実際の運用となるとスキや穴だらけで、使えない制度……。なぜ実際の運用のことを考えて、全体設計なり調整なりしないのだろう、と本当に不思議です。 税金使ってやっていることなのに、いつもそうですが、責任の所在もはっきりしません。

  二重行政への批判が多いために、やっと、厚労省と文科省は現状分かれている関連予算を「子ども交付金」として統合する仕組み作りに着手したそうですが、今ごろ仕組み作り、なんて遅すぎるにもほどがありますよね。先の見通しも当事者意識もなく、非効率きわまりない制度を見切り発車させてしまう縦割り行政……責任も曖昧で、だから失敗も次に生かせない負の構造が延々と続いているような気がしてなりません。
年金しかり、後期高齢者医療制度しかり。

  というわけで、またまた私も心底がっかりな記事でした。
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今週の貂々さん

朝できたものが夜には消えていた……本当です。

キズ.jpg


Profile

矢野貴久子


出版社、フリー編集者を経て'99年にネットメディア、カフェグローブ・ドット・コムを設立。多忙な30代を経て40代で不妊治療を開始し、'07年11月に45歳で男児出産。'08年2月に職場復帰したばかりの新米ワーキングマザー。その日常は自身のブログ「朝と夜のあいだに」にても執筆中。
http://www.cafeblo.com/asayoru/
カフェグローブ・ドット・コムはこちら
http://www.cafeglobe.com/

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