2008.10.23 Thursday

日本のテレビが恐慌を追わない理由は?

 フランスが大手銀行6行に公的資金を予防的に注入、アイスランドのサムライ債がデフォルト(債務不履行)懸念、パキスタンもデフォルトの可能性が高まり、どちらもIMFと協議を始めたとか……IMFは新興国ウクライナにも1兆円規模の融資を行う予定でもあります。日本でも資本注入の条件が緩和される金融機能強化法の改正案が出てくるなど、世界的に連鎖反応が起こっている世界的金融危機。

この連鎖、どこまでいくんでしょうか。政府が、IMFが、救済し続けるといっても限りがあるはず。切れ味鋭いエコノミストの浜矩子さんが「フラフラになった金融機関に手当たり次第、生命維持装置をつけてしまって大丈夫か? ずっとつけているうちに生命維持装置の方がイカレてしまうことはないのか?」という問題提起をされていますが、まさにそれこそが世界恐慌なのだと思います。

日経新聞を開けば、このところ一面は「わわわ大変!」というこの世界各国の金融恐慌とその関連記事が盛りだくさん。

しかし……。やっぱり変だ。日常生活の中での危機感は、少なくとも日本にいる限りは、ない……。この違和感を、わかりやすくずばり指摘してくださったのが、先日、あるイベントでご一緒したモード系女性誌編集長のIさんです。

パリコレから帰国したばかりのIさんがおっしゃっていたのは、そう、テレビ。パリでテレビをつければ、すべてのニュースがこの金融危機をこの視点、あの視点でとりあげて解説している。それなのに、日本に帰ってきてみると、ニュースやワイドショーがこぞって取り上げているのは、少し前に起こった親殺し、子殺し、無差別大量殺人の「なぜ」。このテーマが軽いといっている訳ではけっしてないのだけれど、この偏重ぶりが気持ち悪い、とふたりでうなずいてしまいました。

浜さんも指摘しているように、複雑に入り組んでしまって誰もわからない領域だらけの金融恐慌。でも、だからといってこの問題を正面からとりあげないでいいのだろうか。メディアは私たちをそのようにスポイルし、そのことによって私たち自身も、「世界で起こっていることをきちんと考えなくなってしまう」。実は、この連鎖も本当に怖いことのひとつではないのだろうか……。

もしくは、日本は関係ないと本当に思っているのか。はたまた面倒くさいのか(殺人よりも視聴率がとりにくいのか)、秋の夜長にそんなことが心配されて仕方ないのでした。みなさんはどう思います?




Profile

矢野貴久子


出版社、フリー編集者を経て'99年にネットメディア、カフェグローブ・ドット・コムを設立。多忙な30代を経て40代で不妊治療を開始し、'07年11月に45歳で男児出産。'08年2月に職場復帰したばかりの新米ワーキングマザー。その日常は自身のブログ「朝と夜のあいだに」にても執筆中。
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