2008.12.04 Thursday
産婦人科医だけじゃなかった
お腹の中から出てしまっても、生存できるギリギリのラインが妊娠22週と言われている……妊娠中にこれを聞いた私は、高齢ということもありとにかく22週まで頑張ろう、と祈るような気持ちでした。
しかし、このときは本当に知りませんでした。早産になってもNICUに入れない可能性があるということを。先日のニュースが伝えていたのは、妊娠27週で自宅で生まれてきてしまった未熟児の赤ちゃんが、7病院に受け入れを拒否され亡くなってしまったというものでした。
先日、産婦人科医はもっとも過酷な職業、と書きましたが、「新生児ICUパンク」というYOMIURI ONLINEの記事を読んで、新生児科の医師も本当に足りないのだということに愕然としました。
いま、年間でNICUでの治療が必要な赤ちゃんは、3万6,000人。高齢出産や医療技術の進歩などの理由で、この10年で1.5倍にも増えたそうです。この赤ちゃんたちを救うには、少なくとも3,000床のNICUが必要で、いまの実際数が2,000床。この数字だけを見れば、必要数の3分の2しか設備がない、ということになります。そしてこのNICUで実際に診療にあたる新生児科の医師の数は、いま現在の日本では700~800人。あと1,000床を増床するには、医師の数を1.5倍から2倍にする必要があるのだそうです。
しかし、産婦人科医と同じように激務で訴訟リスクも高いこの分野は、やはり敬遠されがちで、なかなか志望者が増えないのが現状のようです。
志の高い医師たちが、その志だけで過重労働を厭わず、妊婦や未熟児を救うために働きづめに働いている。3Kともいわれかねないこの仕事を、どのように働きやすくして、なり手を増やすのか。勤務体制などの職場環境改善、労働や責任に見合う十分な報酬、訴訟などに対するリスクヘッジ、などを平行して行っていかないと、産婦人科医同様、確保は難しいでしょう。
重篤な病に陥った妊婦さんや早産の赤ちゃんが病院から受け入れを拒否されて亡くなってしまうというようなニュースが、もし今後増えるようなことがあれば、女性たちが不安から出産を先送りしたり、断念しようと考えても不思議ではありません。
少子化の理由は、こうやって本当にさまざまな局面に点在しているものだという認識をまた強くしました。その点在している問題をひとつひとつ、つなげて解決していかないといけないのですね。
Profile
矢野貴久子
出版社、フリー編集者を経て'99年にネットメディア、カフェグローブ・ドット・コムを設立。多忙な30代を経て40代で不妊治療を開始し、'07年11月に45歳で男児出産。'08年2月に職場復帰したばかりの新米ワーキングマザー。その日常は自身のブログ「朝と夜のあいだに」にても執筆中。
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