2008.12.16 Tuesday
受診が必要な子どもと小児科医、双方を守るには
最近の親は、夜間の救急医療をコンビニ化しているという批判がありますよね。このコラムの担当編集者、Sさんも夜中にお子さんが激しい腹痛で夜間救急を受診したところ、「ガーゼを取り替えに来たのー」と顔見知りのお母さんと子どもが来てたのにびっくりしたという経験があるそうです。仕事があるから、心配だから、ひどいときは昼間より混雑が少ないからというトンデモ理由で受診する親もいる……。
でも、普通の感覚でいけば、夜間具合が悪くなったら親としては本当に心配ですよね。また、働く母が増えてきたら夕方で終わってしまう病院は行きにくい……(これは母自身の病気でも同じですね)。
開業歯科医などは、土日や夜間の診療をしているところも増えてきました。同じように、小児科や普通の内科や外科などもそういうシフトを組んでくれるといいなあとは確かに思います。
とはいえ、とくに小児科については、あまりにも気軽に夜間診療に出かけてしまって本当に重篤な病気やケガで早急な診療が必要な子どもに影響があったり、医師が疲弊してしまっては本末転倒です。
これについては、受ける側の意識がまず大事。たとえば、まずは小児科学会が運営しているサイト「お母さんのための救急&予防サイト」の存在を知っておくだけでも違うと思います。症状別にあてはまる項目をチェックしていくと救急車を呼ぶべきか、夜間診療に行くべきか、のアドバイスが出てきて、なんとも心強い。
また、地域のお母さんたちが連携して、疲弊し減っていく小児科医を守るために立ち上がった例もあります。県立柏原病院の小児科を守る会では、啓蒙活動の結果、小児科の救急受診が半減し、この取り組みに心を動かされた大学病院の医師が転勤を希望するなどの効果があったそうです。サイトも立ち上げて熱心に講習会や勉強会活動に取り組んでいるのは市立西脇病院小児科を守る会です。
見逃してはならないのは、病院側ができることもあるということ。世田谷区にあるいわゆる「子ども病院」の性格をもつ国立成育医療センターの救急センターでは、症状の重い軽いに関わらず痛みや不安を持つ子どもと家族のためにいつでもどうぞ、という姿勢を貫いています。
その代わりといってはなんですが、ここではトリアージを行っています。受付順番通りではなく、症状の重篤度をみて緊急性を判断していくのです。その結果、症状が軽いと判断されれば待ち時間が長くなります。この病院では、年間4万人近い患者さんが救急診療を受けるそうですが、そのうち15分以内をメドに診察・治療が必要な緊急性の高い子どもは約1割だそうです。
トリアージは、こういう場面でも使われるのですね。正確に行われれば合理的なシステムだなとまた改めて思いました。
医療は、社会性・公共性の強いサービス業です。利用者が受けやすいものにしていく必要もありますし、そしてそのサービスを利用する我々も知識をしっかりもって節度ある使い方をしてこそ、地域医療が充実していくのでしょう。
このどちらもがあってはじめて成熟した社会、と呼べるような気がします。
Profile
矢野貴久子
出版社、フリー編集者を経て'99年にネットメディア、カフェグローブ・ドット・コムを設立。多忙な30代を経て40代で不妊治療を開始し、'07年11月に45歳で男児出産。'08年2月に職場復帰したばかりの新米ワーキングマザー。その日常は自身のブログ「朝と夜のあいだに」にても執筆中。
http://www.cafeblo.com/asayoru/
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